祇園の祭事

六道まいり

8月7日~10日/六道珍皇寺

東山の鳥辺山のふもと一帯は、『源氏物語』の桐壺の巻にも登場するように、昔は「六道の辻」といわれた所です。

京では、お盆に冥土から帰ってくる先祖の霊は、この辻を必ず通るという俗信があり、「おしょらい(精霊)迎え」の門火を焚く前に、珍皇寺の六道まいりをすませるのが習わしとされています。

有名な「迎え鐘」は、十万億土に届くといわれ、鐘楼のすそ部分にある小さな開口部から綱を引き、つきます。たぐり寄せるように引くことで、精霊を迎えるというのです。

境内では花屋さんが高野槇の切り枝を売ります。これは、平安の歌人・小野篁(たかむら)が、昼は朝廷にかよい、夜は境内の枝先をつたって井戸を通って、冥府のえんまの庁に行き来したとの伝説にによるためです。

人々は水塔婆に亡き人の戒名を書いてもらい、お線香で清めてから槇の枝を水で濡らしてお地蔵さんの前の水盤に浸します。また井戸のある家では、この槇の束を吊っておけば、井戸が冥土からの口となり、精霊が帰ってくるというわけです。

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