祇園点景

桧扇

祇園祭の見所の一つ、屏風祭りの「桧扇」の花

祇園祭は、宵山と山鉾巡行だけではありません。7月1日の吉符入りにはじまって、31日の疫神社夏越祭まで、神輿洗、お迎え提灯、稚児社参、宵宮神賑奉納神事、神幸祭、花傘巡行、還幸祭と30日余りも続く長篇の祭事は、祇園祭のみといっても過言ではありません。

というわけで、観光客の皆さんお勧めの見所も盛り沢山。その一つが、祇園祭の別名「屏風祭り」です。
鉾町の家々では、自慢の屏風や蔵から持出した家宝などを座敷に飾って見物客に披露します。その屏風の前に桧扇(ヒオウギ)の活花を飾るのが慣習となっています。
葉の並び方が、礼式に用いる桧扇に似ているからか、人を招き寄せるという扇の縁起をかついでか、世界に一種という、花の貴種性を尊んでか、屏風祭りに桧扇の花を飾る理由はさだかではないようです。

黒い種子は「射千五(ぬばたま)」。黒や夜、夢、髪などの枕詞で、「ぬば」は、黒色を表す最も古い語とか。ともあれ、花に神が宿ると考えた祖先の思いが、屏風祭りの桧扇にも伝承されているのでしょう。

桧扇

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