祇園点景

祇園石段下

京都一のデートスポット 人集う祇園石段下

文豪の夏目漱石が、「京に着ける夕」という一文に「唯さへ京は淋しい所である。原に真葛、川に加茂、山に比叡(ひえ)と愛岩(あたご)と鞍馬、ことごとく昔の儘(まま)の原と川と山である」と綴ったのは、明治四十年のことです。

百年は大昔。新幹線の開通や、観光バスの往来、新しい京都駅の登場…と京都の街は大変貌。往時から賑わっていた祇園も人々で溢れています。

京を訪れた人が、千年の都の面影を求めて先ず足を運ぶのが「祇園石段下」。八坂神社の朱塗りの西楼門の下の二十段ほどの広い石段を降りたところ、東大路通と四条通りがTの字型にぶつかったところが石段下です。

前には祇園の商店街や花見小路、後ろには円山公園と、舞台が揃う絶好のデートスポットで、年中、人待ち顔の男女の姿が絶えません。

ヨーイヤサァの都をどりが幕をおろし、宵山のお囃子の音がコンコンチキチと遠ざかり、顔見世興行が雪もようのなかで終わり、さて晦日の夜半から元旦へ。石段下の闇は、をけら火の火縄のあかりで赫々と燃え、新年へと歩みはじめる人々の足元を照らすのです。

祇園石段下

ページ上部へ