祇園点景

祇園

藍染め衣とだらりの帯とゆきかうまち

寒の入りから寒明けの節分まで、およそ30日間の寒の内には、古式泳法の寒中水泳にはじまって、柔道、剣道などの寒稽古、三味線や日本舞踊などの芸事の行が行われます。寒中に丹練し精進すると、芸が伸び、力がつくのだといいます。

太鼓をたたきながら、夜更けの都大路を「ナンミョウホウレンゲーキョー、ナンミョウホウレンゲーキョウ」と念仏をとなえ、足早やに通り過ぎるのは法華さん の「寒行」です。さぞや寒いやろと思いつつ語らいつつ、一本つけて土鍋をつついたり、こたつで温もりながら、蜜柑の皮をむく…のも京の冬の暮らしの一端です。

禅寺では季節をとわず、月のうちの一・六・三・八の日。建仁寺では一・六・四・九の日が托鉢の日。藍染めの木綿衣(夏は黒の麻衣)に脚絆をつけ、素足に草 鞋がけの修行僧たちが「オー~ッ、オー~ッ」と声をあげ、余韻を残しつつ大股で去ってゆきます。通常は三人一組でまわりますが、何人もが一列に並んで歩く 托鉢行は「連鉢」というのだそうです。

建仁寺を出た網代笠の僧たちと、お座敷へといそぐ舞妓さんたちが、細い格子のつづく道ですれちがう日もあります。藍染めの衣とだらりの帯と、祇園はそんな静と華が同居するまちです。

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