祇園点景

長楽寺

除夜の鐘でお馴染み 名刹「長楽寺」の見所

江戸時代後期になると祇園は、「山紫水明処」の言葉で有名な詩人の頼山陽、『雨月物語』の作者の上田秋成、画家の呉春など多才な人々が集い、香をたき茶を点て、酒宴を楽しむ風流な交遊の場と化しました。

円山公園の南を区切る道を山の方へたどると、正面に山門を構えているのが長楽寺で、上り坂の石段が山門から境内奥の本堂まで続いています。前記の文人の1人だった儒学者の中島棕隠の作といわれる小唄の「京の四季」に「真葛ヶ原にそよそよと 秋の色ます華頂山 時雨を厭ふ傘(からかさ)に 濡れて紅葉の長楽寺」とあるように、椿、桜、百日紅、楓などの四季の彩りが、訪れる人の目を楽しませてくれます。

壇ノ浦の戦いで源氏にとらわれの身となった建礼門院徳子は仏門に入る決意をし、この寺で尼となり、寂光院に移り住むまで念仏の日々を送られたとか。

境内には「百八の一つをつきぬ除夜の鐘」という村田橙重の句碑が…。梵鐘の黄色(おうじき)調の音色は、晦日の夜半になると全国に中継放送されたりしたので、長楽寺といえば除夜の鐘を連想される方も多いはず。湧き出る平安の滝、滝壺のまわりの石仏など、長楽寺は見所の多い名刹です。

長楽寺

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