祇園点景

祇園小唄の碑

七彩で抒情的

散歩道ともなり、いこいの場ともなり、季節を通して人々が集う円山公園には、いろいろの楽しみがあります。句碑に歌碑さらには銅像などの拾い歩きもその一つです。

例えば枝垂れ桜の東にある瓢箪池畔の時計台の傍ら、楓樹の下に立つ「祇園小唄」の碑に出会えたりします。

高さ1.5、横2.5メートルもの堂々たる自然石に、おなじみの「月はおぼろに東山」からはじまる長田幹彦自筆の歌詞が七彩で彫られているという珍しいものです。右手前には五線譜を彫刻した、少し小振りの銅板譜面の碑も。

設計は朱色の宇治橋をデザインした洋画家和田三造画伯。碑の裏には「祇園小唄歌曲碑建設會 京都市 京都新聞社 祇園甲部組合 昭和三十六年十一月二十三日建之」とあります。

長田幹彦は谷崎潤一郎とともに、京都にとって忘れられない作家です。祇園の舞妓に魅せられた長田は、短編集の『祇園』をはじめ、『鴨川物語』『祇園宵待草』などいわゆる「幹彦の祇園もの」を次々と発表。「祇園小唄」は、150万部という大ベストセラーとなった小説『祇園夜話』をマキノプロが昭和5年に『絵日傘』の題名で映画化。その主題歌として大流行したものです。

この歌の功績を顕彰するために、平成14年から11月23日、「祇園小唄祭」が歌碑の前で行われています。

祇園小唄の碑

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