祇園点景

おばけ

夏場は出ません 節分の「おばけ」

鬼が化ける、狸が化ける、山姥が化ける、飼い猫が化ける。いろいろなものがやたらと化ける。化物語が各地で伝承されているように、私たち日本人は実にお化けが好きです。

怪異談をあれこれと集めた『化物草紙』などという絵巻も残っていますし、最近では、漫画のユーモラスな妖怪たちで、まちおこしに成功した地方もあるほどです。

こわいながらものぞきたいのが、夏のお化け屋敷でしょう。京都では、夏場ではなく、冬のさなかに、しかも街になんとお化けが出ます。
京の珍らしい節分風俗で「お化け髷」のこと。「お化髪」が「おばけ」となったという説があります。

女の子は丸髷や島田などに結って大人の女性に化け、既婚の女性は桃割れに結って娘に化けて、良縁がありますようにとか、娘のころのようにいつまでも美しくと厄除け詣をしました。
節分の日だけの習俗なので「節分のおばけ」といいます。
かつては「化ける」人たちが大勢いて、当日美容院は大賑わいだったものですが、いまは、祇園の花街がこの習俗を伝承しています。チャンスがあれば、歌舞伎の主人公などに扮装してお屋敷を廻る、芸・舞妓さんの「おばけ」に出会えるかも。

おばけ

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