祇園点景

軒下の粽

厄除けはおまかせあれ

昔の人は、たたりとか厄とかをずいぶんとおそれたようで、そうした災難をふせぐための習俗が数多く伝承されています。

西陣や祇園など、京の古い町中にある武家や商家の戸口、軒下などに見かけられるのが、褌姿の異様でユーモラスな鬼の姿を刷った「角大師」のお礼。無病息災の保証つきという「蘇民将来之子孫也」のお礼も貼りついていたりします。
祇園祭がくると、これに加わるのが、八坂神社や鉾や山の名入りの授け物、「祇園さんの粽」です。

祇園祭は元来が疫神とか死者の怨霊を鎮めなぐさめるために行う御霊会。八坂神社の祭神の牛頭天王が南海を旅したときに、粟飯でもてなした貧しい蘇民将来に、お礼にと伝授した芽の輪が変化したもの。疫病が天下に広まったとき、芽の輪を軒につるした蘇民の家族だけが生き残り、子孫は国をつくることになったという伝説に因んでいます。

宵山の人混みのなか、「常は出ません、今晩かぎり」とかわいい子どもたちの声にさそわれて粽を買う人の姿は絶えません。
屋根には鍾馗さん、軒には、粽。是無事平穏な京の日々、祇園の日です。

軒下の粽

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