祇園点景

白川

稲荷あり、歌碑あり風情の白川畔

京都は昔から「水は京、女は都」といわれてきました。鴨川の水で産湯をつかった京女の評判は、昔から全国的に高かったようです。
江戸の作家・滝沢馬琴が旅行記の『覊旅漫録(きりょまんろく)』のなかに「京によきもの三つ、女子、加茂川の水、寺社」と書いて以来、女と加茂川と寺社は京の三点セットとなりました。

山紫水明の京には、今出川、夷川、御池、河原町など、水にゆかりのある地名も少なくありません。神輿洗いのお祓いにつかわれる鴨川をはじめとして、船下りで有名な保津川、森鴎外の小説の舞台となった高瀬川、淀川へと流れる桂川、そして木津川と、京の川もいろいろですが、心ひかれる川の一つが風情あふれる白川です。

祇園の古い町並みが残る新橋の白川に架かる橋が巽橋。橋のたもとには、芸能上達を願ってか、芸妓さんたちが手を合わせて通り過ぎる辰巳大明神があり、桜並木のもと、お茶屋の「大友」跡に建つのが、都をどりの作詞者でもあり、祇園歌人として有名だった吉井勇の鞍馬石の歌碑です。

在りし日の歌人を偲び、毎年十一月八日には、舞妓さんやゆかりの人々が集い、さやさやと瀬音が聞こえる白川畔で、「かにかくに祭」が催されます。

白川

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