祇園点景

盛り塩

千客万来を願う

日本人の食文化には、塩は不可欠な存在です。大昔から塩は神事仏事に必須のものとして大切にしてきましたし、各神社でも朝夕の御日供(おにっく)としてお供えしています。

京の町家や祇園町では、これは一種の浄めの儀式。海水で浄めるのが本当なのですが、海の遠い京都では「盛り塩」を代用してきました。

盛り塩には貧乏神や悪い因縁などを追い払う効力があり、豪遊したお客が後で支払いに困ることのないようにとのおまじないでもあるそうです。さらにお客がその前を通ると、翌日から何倍もの福徳神のお陰に預かれるとの信仰もあります。

この信仰はどうやら中国伝来のものらしく、ある日貴人を乗せた牛車の牛が、ある店の前にあった塩をなめ続けて離れなくなったため、一同は仕方なく店に入り、大繁盛。味をしめた店主は客を呼びこむために門口に塩を盛るようになったというのです。

いまや日本の、京都の習慣ともなっている盛り塩。つましく、清らげに白く輝く盛り塩(自然塩に限るそうです)には、千客万来の願いが込められています。

盛り塩

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