祇園点景

くくり猿

こころをコントロール

八坂の塔界隈の軒先で風に揺れているのが「くくり猿」。これは八坂庚申堂で願掛けに「くくり猿」を作って奉納するのにならって、5匹のくくり猿をご縁猿(5猿)と名付けて、お客様とよい御縁ができますようにと、近辺の商店会の奥様方の手づくりのものだとか。また、一番大きいのはお父さん、二番目はお母さん、三番目からは子供というように家族身代わりと厄除け、お客様の幸せを庚申さんにお願いしているものです。

同じように奈良市奈良町庚申堂では「身代わり猿」といいます。また飛騨にも「さるぼぼ」がありますが、形はちょっと違うようです。飛騨では赤ちゃんのことを「ぼぼ」と言い、さるぼぼは猿の赤ん坊という意味で、災いが去る(猿)とか家内円(猿)満など縁起の良いものとされ、お守りとしてもあります。

くくり猿に願い事を託して叶える秘訣は、欲を一つ我慢することだそうで、くくり猿はまさに、猿が手足をくくられて動けない姿をあらわしていますね。意馬心猿とも言うように、猿は欲のままに行動します。願ったことを叶えようとするとき、欲望のこころが動いてそれを妨げようとする、人間の中にある「欲望」が動かないようにと猿をくくりつけ、庚申さんにうまくコントロールしてもらうためです。

良い行いをしていれば、くくり猿も庚申さんのお使いとして、皆さんを助けてくれることでしょう。

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