八坂の塔
京で最古の五重塔
京都には絵になる古塔がいくつかあります。高い建造物のなかった昔に建てられたものが多いので、地震、雷、火事がおそろしい。
桜の名所御室仁和寺の五重塔は、仁和4年(888)に創建された塔の二代目。応仁の乱の兵火で全焼。165年後の寛永14年(1637)やっと再建されました。桜がよく似合います。
塔の高さ55メートル、日本一を誇る東寺の五重塔は三度落雷で出火、合わせて五度焼けました。
版画などでお馴染みの八坂の塔は高句麗系の人々が造った寺の跡とかで、正式には法観寺といいます。奈良時代に建立されたという古い寺暦を誇る塔なので時々塔が傾く。塔の傾いた方角に災禍が起こるとの言い伝えをおそれて、法力で元に戻したり、反対側に池を掘り、ピサの斜塔状態の塔に対処したそうです。
治承3年(1179)の5月、祇園感神院と清水寺の紛争の巻き添えとなってついに炎上。その後二度再建、二度焼失。現在の塔は足利義政が再建したもので、六波羅探題の物見櫓にされたり、北浜相場の連絡所にされたり、波乱の歴史を送っています。
再建後五世紀あまり。40メートルの高みから見る京の町並みはさぞや窮屈に見えることでしょう。