犬矢来
祇園町の変わるもの 変わらぬもの
かつては、しばしば戦場となったせいか、京都の家構えにはいろいろと特徴があります。その一つは常時外をうかがうことができ、災害を防ぐための工夫がこらされていること。中二階につけられた虫籠窓も腐敗防止の紅殻を塗った京格子(千本格子、紅殻格子)も外からは見えにくいくれど、家の中からはよく見え、しかも採光がいいという利点があります。
さらに念には念をと、格子の下に取り付けてあるのが「犬矢来」です。武士の争いごとで家に刀傷がつかないよう、防止策として戦乱の時代に考案されたものとか。犬の粗相も防止することからついた名です。
簾に格子に暖簾、この3点がセットになっているのは祇園町のお茶屋さん。しっとりと落ち着いたこの街の風情を維持し、伝統を回復しようと、新橋通の茶屋街を中心に「祇園内六町」は懸命です。
電柱が消え、石畳が新しく敷設された花見小路通り。新しい時代の流れのなかで、少し変貌しましたが、舞妓さんの街は美しく成長しているようです。