茅の輪
茅の輪をくぐって無事、夏を越える
京都に住んでいると、さてこれから夏を迎えうつぞという心構えがいります。蒸し暑いだけでなく、悪疫もいろいろ流行したので、昔の人々は神頼みに多忙でした。
6月晦日(30日)に行われる「夏越しの祓」は、罪や穢れをはらい、災厄を除くための神事です。この日は「水無月(みなづき)」という三角形のお菓子を食べるのが京のきまり。
氏子の家には紙製の人形がまわってきます。年と名前を書きこんで、からだをなでると、身の災いが人形にうつるといわれています。
神社の境内には大きな「茅の輪」が裾えられます。この輪をくぐりながら邪気払いを念じるのです。
茅の花穂は茅花といって、いなかのこどもたちの好物。おやつがわりに白い穂をよく食べたものとか。
茅の輪をくぐるときには、最初はくぐって左廻りにもとに戻り、次はくぐって右廻りに戻り、さらにくぐって左廻りに戻るという約束ごとがあります。
「みな月のなごしの祓する人は、ちとせの命延ぶというなり」と、古歌を唱えながらくぐるとご利益大というですが、さてどうでしょうか。災難除けに戸口につるすため、また、小さい茅の輪を作って腰につけ、疫病除けのまじないにするため、茅の輪をむしって帰る人も。茅の輪受難の日。1日で夏やせします。
八坂神社では祇園祭の最後の行事「夏越祭」として、7月31日に行われます。